a paper doll


机の上に10個以上並べられた『てるてるぼうず』

みゆきは、そいつらにせっせと顔を描いている。

今日は授業が5時間目までだったから
喫茶店でも寄ってゆっくり話でもしようと思っていたのに。

なにやってるんだ?
こいつは?



「てーるてーるぼうず〜、
 てーるぼうず〜、
 あーしった天気っに
 しっておっくれ〜♪

 うん!我ながらいい声してるぅ!」



「みゆき………、
 まさかとは思うけど、
 そいつら、
 俺じゃないよな?」

「ん?
 これ?
 んふふ〜、分かっちゃった?
 これ瑛の顔!
 可愛いでしょー」

「どこが俺なんだ…!
 っつか俺ぼうずじゃないだろ!」

「うん、だから髪の毛も描いてるじゃん」

「髪の毛あったら『てるてるぼうず』じゃないだろ?!」

「うーん………?
 ま、あんまり深くこだわらなくていいんじゃん?」

「はーっ、これだからB型人間は…」

「なによー、そういう瑛だってB型じゃん!」

「いーや、俺のB型とみゆきのB型は、ぜんっぜん違う」

「もう!うるさいなぁ。
 進められないじゃん!」

「俺のせいか?
 はっ、そーかそーか。
 そりゃお邪魔しました。
 …もう帰る」

「あー待って待って!
 一緒に帰ろうって言ったじゃん。
 待っててよ!」

「やだ、帰る」

「あー、もう、イチイチ面倒くさいんだから。
 ヒネクレモノ!」

「はいはい、俺はヒネクレてます」

「うわー!開き直ったよ!」

「じゃあ、さようなら、澤木さん」

「わわー!ホントに待って!
 ね、お願い!
 もうちょっとだから、ね?」

「可愛くない。待たない」

「お・ね・が・い…ね?」

「うっ………
 ちょ、ちょっとだけだぞ、早くしろよ」

「よっしゃ。成功!」

「あのなー………、
 それにしてもなんでそんなの一所懸命作ってるんだよ?」

「うん、ほら、梅雨、なかなかあけないでしょ。
 部活がねー室内練習だけだと全然気合が入らないのよー」

「へー、そういうもんか?」

「というのは建前でー…、えへへ」

「なんだよ?きもちわるい」

「今年は、沢山、海に行きたいなーって………瑛と」

「な…何言ってるんだ!
 俺は店あるし、おまえだって部活だろ。
 それに俺ら一応受験生だぞ?」

「うん、でも、朝とか夕方とかチョットでもいいから。
 あー、でも…、
 瑛が忙しくて
 そんなに付き合ってられないなら
 我慢、する………」

「わ………な、泣くな、な?
 あー、俺も海で息抜きは必要だ、だから、な?
 一緒に、行こう、海………たくさん」

「…ホントに?約束?」

「う………約束する」

「わーん!瑛、大好き!」

「おまっ…!抱きつくな!ここ学校!!」

「いいじゃん、少しだけ、ね?」

「…ヤバイから、囁くなっ!」

「瑛」

「なんだよ………あーもう、なんでもいいから耳から口離せよ」

「お誕生日おめでとう」

「…おまっ!どこにチューしてんだよ!」

「ダメ?」

「ダメ…じゃない………
 けど、どうせするなら、ココにしろ」

「わかった………
 瑛、好き」

「ん………
 俺も、好き」





ごめんなさいー!瑛と聞いて一番に思いついたのが紙で作ったあいつらだったんですー。
もう完全デキテルという二人でした。

ウィンドウを閉じて戻ってください。