10. 11/21(金) 誕生日☆その3☆




なんとも言えない歯ごたえの無さと
必要以上の甘ったるさ、
それから
熱を与えるとどんどん溶けて
口の中にまとわりつくヤツ。



オレの嫌いな食い物だった。



だけど



想像以上にフワフワとやわらかくて
舐めれば舐めるほど甘くなって、
それから
オレの熱でトロトロに溶けて
オレに懸命に絡みつくヤツ。



マシュマロみたいなコイツが世界で一番好きだ。











「うーん」

「どうした?」

「うーんうーん」



ここはベッドの中。
おまえはオレの腕の中。

せっかくさっきまで良いムードだったのに
何をうんうん唸ってるんだ、コイツは?



誕生日にオレの欲しいものをくれた
できるだけ優しくして、つらくないようにと気をつけたつもりだが、大丈夫だったろうか?
腕の中の小さなぬくもりが前よりもっと大切になって、らしくなく涙だって出そうなくらい幸せを感じて………。



「うーんうーんうーん」



ムードぶち壊し………。



「ハァ………どうしたんだ?」

「うん、あのね」

「ん?」

「やっぱり形の残る物もあげたいなぁって」

「オレはもう十分すぎるほどもらったけどな」

「そ、それは、そうなのかも、だけど………物だとずーっと後で一緒に見たりしたら楽しそうじゃん?」

「………」



コイツの深く考えてねぇ天然発言には何度もドキドキしてきたが、今何言ったのか分かってんのか?
ずーっと後って何年後だ?十何年後?何十年後?
いや、まあ、オレだってずっと先まで一緒にと思っているが………。



「勝己?」

「あ?ああ………まあ、そういうのもいいな」

「でしょ!何がいいかなぁ………」



オレを呼んで上目遣いになる顔や、そうやって悩む顔や仕草も全部全部かわいい。



どっかの馬鹿が手に入れたら冷めたとか言ってたが、そんな風になるわけがない。
前よりもっとかわいく見えて絶対に手放したくないと思う。
できることならずっと腕の中に閉じ込めておきたい。

乙女か?と自分で自分に突っ込みをいれたくなるほどなんだぞ?オレは。
それほどコイツにときめいているんだが、当の本人はあっさりしすぎだよな………さっきから………。
話は後回しにしてもう少しの間甘ったるいムードでいたいってのに。

うんうん唸ってるアイツの額にキスを落とす。



「な、なに?」



びっくりした目もかわいい。



「ククッ………」



焦ってキョロキョロしてるその目にもキスを落とす。
閉じた瞼が少しピンクに染まってそれもまたかわいい。



「ハァ………」



たまらない。
頬と唇と耳を啄ばむ。
止まらねぇ。



「ちょっ!勝己、ストーップ!」

「いやだ」

「今日はもう無理!」

「………触るだけ」

「無理!」

「………じゃあキスだけ」

「ヘンなとこにキスしない?」

「さあ………」

「さあ………って、だ、ダメ!………あ」





優しくするから。
だから………な?
甘いやつのおかわり、頼んでいいだろ?