* 志波勝己誕生祭09からお越しのお客様へ *
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し・・・知らない人から電話



学食の一番手前の窓際の列、
後ろから5番目のテーブル、
それがオレたちの定位置。

昼飯時はもちろん、
休講や自主休講ん時は、
ここに来ればたいてい誰かしら居る、
そんな場所だ。

オレたち――とは、体育科の仲間のことだが、
もちろん、その中にはアイツ、もいる。
高校で気持ちが通じ合い、
同じ大学に進学し、
一番近くにいる一番大切な女。



PM4:00
4限が終わりいつもの場所へ来たオレ。
部活前の軽い腹ごしらえをしてから
と一緒にグランドへ移動する。
それがいつものパターン。

僅かな時間でも一緒にいたい。
そう思ってんのはオレだけじゃねぇって
安心していられる穏やかな日々。



――そんな当たり前の幸せな日常が
当たり前じゃないと思い知らされる日が来るなんて
思ってもみなかった……。



4限が終わって10分経っても20分経ってもが来ない。
授業が遅れてんのか、
質問でもしてんのか、
それとも誰かダチにでも捉まったか……。
金曜4限、は確かロシア語だったはず。





「ねえ志波、巻舌できる?」
「は? まきじた……?」
「うん。ロシア語はね、巻舌いっぱい使うから面白いんだよー」
「面白いのか? 勉強が?」
「ホントに面白いんだって!
 例えばね、こんにちはーは、ずどるぁぁすとびーちぇでしょ。
 あと、すごい!は、はるぁっしょとか。
 えへへー。ね、結構上手でしょ?
 るるるるる……」

そう言ってオレの方を向きながら巻舌を実演してた
軽く開いた唇の奥で舌が震える様子を一生懸命見せようとしてるんだろうが……
それを見ながら別の事を考えてしまうオレは不純なんだろうか?

「確かに、面白いな」
「でしょー!」
「ああ……もっかい見せてくれ」
「うん、いくよ? るるるるる――んんんんん!?」

あの後、真っ赤な顔してむくれちまったっけ。
ふくらんだ頬をいつものように指で押してやった。

「もう絶対にやらない!」
「ああ、オレ以外のヤローの前ではやるな」
「志波の前でもやらないもん!」
「なんでだ?」
「だって、さっきみたいのは――」
「イヤなのか?」
「……は、はずかしいんだもん」

真っ赤なままのアイツが本当に可愛くて
ポンポンと頭を撫でてやったら
「もうっ……」と言いつつ笑ってた。





「おい、志波ぁ! 部活行かねぇのか? 先輩に怒られっぞ!」
「ああ、後から行くと伝え――?」

ケツポケットで小刻みに震える携帯。
、か……何してんだか……。

「もしもし、おまえ、今どこに――」

だが、携帯の向こうから聞こえてくる声に、
オレは、
凍りついた。

「オンナハアズカリマシタ。
 コノコトハダレニモイッテハイケマセン。
 アナタノコウドウハスベテハアクシテイマス。
 7ジニクウチュウテイエンヘキテクダサイ…………
 …………
 …………ッ
 …………
 …………」

全身から血の気が引いた。
体が動かない。
ついでに脳みそも働かない。

電話が切れた後も
耳に携帯を押し付けたまま
まったく動けなかった。



いったい、

何が、

起こったってんだ……?





……to be continued



(あとがき)
ハッピーバースデー!
志波くん、19歳のお誕生日おめでとう!

こんにちは。Say-coです。
第一話、お読みいただきありがとうございました。
どうも私はイベントとなるとふざけたものを書く傾向にあるようです。
今回も真面目っぽい雰囲気になっていますが、
はっきり言ってしまうとシリアスな展開にはなりません。
それは続きを読んでいただければ分かると思います。

お題は最後の部分に出しました。
相手はいったい誰なんでしょうか? ね?

お祭りなのでワイワイと楽しくお祝いしたいと思っています。
それでは、また!


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