* 志波勝己誕生祭09からお越しのお客様へ *
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ば・・・バイバイしなくてもいいんだね
PM4:30
すぐにこっちからかけなおしたが、
まったく繋がらねぇ。
ちくしょう、電源、切りやがったか……。
指定されたのは7時。
まだ2時間以上先……。
……だめだ、ジッと待ってるなんてできねぇ。
あ……部活…………ムリだっ、出来るわけねぇ。
後で先輩にしごかれようが、
コンパで飲まされることになろうが、
そんなことは今はどうでもいい。
行くぞ。
空中……庭園、へ…………。
PM6:00
空中庭園の下、
入口んところで出入りする人間をずっと見てるが
怪しいヤツは見つからない。
7時と言ったからには、
向こうも7時前にエレベータに乗るはずだろう。
上に登る前に怪しいやつを見つければいい。
向こうはオレを知っているようだから
オレが睨んでひるむヤツがいたら
そいつが怪しいって事になるはずだ。
そう思って見張ってるんだが……。
なんだってこんなことに……。
誰が何のために……。
そういや……さっきの電話の最後、
何か違和感があったのは気のせいだろうか?
電話が切れるまで、やけに間がなかったか?
震えてるような、何かを我慢してるような……?
いや……想像しても分かんねぇ事を考えても仕方ない。
今できることをやるしかねえ。
相手が誰だろうと必ずとっつかまえてやる。
アイツを助ける。絶対に。
に何かあったら……許さねぇ。
つま先から怒りが湧き起こって体の震えが止まらない。
は、明日を楽しみにしていた、ものすごく。
明日はオレの19回目の誕生日。
「志波、あの……あのね…………」
「ん? どうした?」
ポンと頭に手を乗せて撫でてやると気持ちが落ち着くらしい。
目をとじながらオレの手に頭を寄せてくる。
まるで犬とか猫みたいに。
オレがすることに対してどんな風に反応するのか
新しく発見してはちょっとずつ積み重なっていく。
これからもそれはずっと永遠に続くもんだと思ってた。
オレ達は本当に何の心配も無く毎日隣にいた……それなのに。
こんな風に突然いなくなっちまうことが本当にあるのかと、
夢なんじゃねぇかと、まだ現実味を感じられないでいる。
「あのね、えっと、志波の誕生日なんだけど……ずっと、一緒にいても、いい?」
「ずっと……?」
「うん。それで、あの、よ、よ、よ――」
「?」
「………………よ、夜も、ずっと」
「っ……大丈夫なのか?」
コクンと頷く仕草が愛しくてそっと抱き寄せた。
こういう事が初めてじゃないとしても、
特別な日に一緒にいてくれるという
その気持ちが嬉しくてたまらなかった。
いつでもオレは帰したくないと思っちまう。
もいつも帰りたくないと言う。
だが、向こうはまだ実家住まいの身。
無理に外泊させるのは良くない、けじめは必要だ、
そう自分に言い聞かせて家まで送ってた、いつも。
だからこそ、
「誕生日だから特別にいいよね」
と、アイツはものすごく楽しみにしてた。
そしてそれはオレも同じ……いや、アイツ以上に楽しみだった。
本当に。
どこにいるんだ、?
……無事なのか?
PM6:50
「お、よう、勝己!」
怪しいやつ……じゃねぇが、面倒なヤツが現れた。
なんだってこんなタイミングで出てくるんだ、こいつは……。
「元春……ひとりか?」
「おー、おひとりさまだ」
「こんなとこに、ひとり……」
「なんだよー、いいだろー、別にひとりで来たって。
ここ、オレの息抜きスポットなんだよ。
今の時間は夜景がきれいなんだぞー?」
夜景、か……。
こんな事になるんだったら
苦手だろうがなんだろうが
と来てればよかった……。
「おまえは? あー、と待ち合わせ?」
「いや……あ、まあ、似たようなもんか」
「ここで? 上で?」
「…………上」
「んじゃ、一緒に上まで行こうぜ。ほれほれ!」
「っ……」
ウキウキした足取りでエレベータに乗り込む元春。
こんな場所で息抜きできる神経がわからねぇ。
エレベータを降りると嬉しそうにニカッと笑いかけてきた。
オレは地に足がつかねぇってのに……。
「じゃーな! オレはひとりでノンビリしてくるわ」
「ああ……」
結局、下では怪しいヤツが見つけられなかった。
もう来てるのか?
それとも後から来るのか?
庭園の真ん中に立ってる時計を見上げたらちょうど7時になるところだった。
握り締めていた携帯が震える。
「もしも――」
『チャントキマシタネ』
「てめぇ……どこに居るんだ!?」
周りを見渡してみるが
週末だからか人が多くて
携帯で喋ってるヤツが何人もいる。
どいつだ?
どこだ?
『ツギハシンリンコウエン、8ジデス』
「おい! は無事なんだろうな」
『ブジデス。ソレハソウト……』
「? なんだ?」
『オトモダチノクルマニノッテモイイデスガ、
コノコトハイッテハイケマセンヨ。デハ』
「待て! もしもし! もしも――くそっ! 切られた……」
元春と喋ってたとこまで見てたのか?
なら、近くに居たはずなんだ。
どうして見つけられなかったんだ。
くそっ!
情けねぇ……。
あ……?
なんで元春が車だって知ってんだ?
……向こうは、元春のことも知ってるヤツなのか?
……to be continued
(あとがき)
ハッピーバースデー!
志波くん、19歳のお誕生日おめでとう!
こんにちは。Say-coです。
第二話も読んでいただけたんですね! ありがとうございます!
今回のお題は「楽しみにしてる」部分と重ねてみました。
大学生になったら、まあお泊りの一回や二回や三回……はありそうですが、
実家に住んでいるとそんなに頻繁には、出来ませんよね〜。
あ、このおはなしでは、デイジーが実家、志波くんは一人暮らしという設定です。
真咲先輩登場です。
ゲームを始めたころ、まったく眼中に無かった人なのですが、
今では志波くんの次に好きかもしれない。
3歳離れた幼馴染。
お互いに何を思うんだろう?
お兄ちゃんには頑張ってもらいます。
では、また!
志波勝己誕生祭09投稿作品
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