『森林公園』






じーっとおれの顔を覗き込むおまえ。
胸元がかなり開いたタンクトップなのにそのポーズはどうなんだ?
と突っ込むのはもったいないからやめておこう。



「…うまい」

「よかった!頑張って作ってきたかいがあった!」



心底ホッとした顔をして「それじゃ私も食べよー」
って、おれは毒見係か?

まあ、ニコニコしながら握り飯を頬張っているおまえが
あまりにも嬉しそうだったからよしとするか。





「あ…」

飯粒、またついてる。
何で飯の度に同じことができる?
ちょっと自覚させてやるか?

「な、なに?あ、またご飯粒ついてるの?どっち?ねえねえ」

右?左?とかいいながらほっぺをさわっているが
もっと口に近いところだっていう事は教えてやらない。

「ねえ、どこー?」

「オレが取ってやる」

すっと右手を伸ばして
顎を軽くつかみ
上を向かせる。



ペロッ



「っ!!!!!」



見る見るうちにゆでだこのように真っ赤になっていくおまえ。
それ、おかしすぎだろ。

「クククッ…」

「し、志波っ!なにすんのーこんなとこで!!」

「こんなとこじゃなきゃいいのか?」

「もー!そういうことじゃないーーー!意地悪ー!!」



バカなやつだな、相変わらず。
チョップしようと振り下ろす手をかわすなんて簡単なこと。

まだ反省が足りねぇ。

振り下ろされる手をパシッと捕らえ
クイッと軽く引いてみる。

ほら、簡単にオレの腕の中。

「ちょっと〜〜〜っ」

グイグイ押し戻しても無駄だってまだ分からないのか?
せっかくのおいしいランチタイムをおれがそう簡単に手放すか。

まずは髪に顔をうずめて匂いを堪能。
いつかこの匂いをおれの匂いに変えちまいたい。
それから後ろにまわした手を
頭、うなじ、背中と滑らせ、感触を確かめる。
柔らかいな。
本当はもっと他のところも触りたいが
そこはグッとこらえておこう。
いつかのお楽しみのために。

「ひゃー、くすぐったいよ、志波っ!」

くすぐったいって…
…まだまだガキだ、こいつは。
そのうちくすぐったいなんて言ってられないようにしてやる。

「いいだろ?触らせろ…」

耳元で囁いてやれば
ビクッと身体を奮わせるおまえ。
ハァ…その反応はまじでヤバイ。

オレも歯止めがきかなくなるから
これ以上は我慢だ。

これで最後だ。
背筋をツー
脇をツン
ランダムに繰り返して笑わせてやる。

「あははは、も、やめてー、くすぐったいよー、死ぬ〜〜!!」

体を捩じらせて笑い転げるおまえを見てると
もっともっと手を出したくなる。

でもやり過ぎるとすぐ拗ねるから。
ここら辺で勘弁しといてやるか。





初夏の森林公園。

「アウトドアってのもいいもんだな。
 またいつか来よう」

「じゃ、またお弁当作るね!」

クッ…オレの真意も知らずに無邪気なもんだ。

「ああ、よろしく頼む」

デザートはおまえで。
追加オーダーは心の中だけにしておくか。







※ なかなか進展しない高校生話(本編)とは全く(?)関係ありません。
早くいちゃついた人たちを書きたくてこんな話になりました。
ペロリイベントは定番ですよねー。
(2008.8.5 拍手掲載)



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