反則



名前を呼ばれて振り向いたら
志波の顔がすぐそこにあって



(え?なんで?志波ってもっと大きかったよね?)



なんて思うすきも与えられないぐらいのスピードで
後頭部と腰を抱えられて
キスされた



衝突するかと思うような素早さだったのに
触れる瞬間にスピードをコントロールして
フワリと着地するようなキス



私からじゃ絶対届かない志波の唇
志波からは届く私の唇



それって反則じゃない?



いつも私はもらうだけ

志波がしたいときに

私がしたいときじゃなくて



なんか、ずるい
いっつもいっつも
志波ばっかり満足してる











いつも
最初のキスはオレから



だが
その後に続けるキスは
おまえが欲しそうにしてるから



最初のキスをした後のおまえは
ちょっと顔を赤くして
突然のキスに少し怒ったみたいで
それでいて瞳は潤んで
それはまるで「もっとして」と言っているみたいだ



だからオレは
おまえの瞳を覗き込んで
その表情を確認しながら
おまえが満足するまで
何度も何度もキスを落とす



ほら

今日も

また



そういう顔は反則だろ?



そんな顔されたら
おまえが満足するまでキスしたとしても
オレは全然満足なんてできねぇんだ















志波はずるい………

(2008.12.10拍手掲載)






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