幸せな時間



待ち合わせの場所に
15分前に到着。

我ながら自分の行動が可笑しくて
喉の奥から笑いがこみ上げてくる。

公園で眠気覚ましてから来たってのに
それでも
待ち合わせまで
まだ時間があるなんて
オレは相当いかれてる。



早く会いたい



そう思ったら
早く家を出て
自然に早足になっちまった。



あと15分、か……



昔のオレだったら
15分は
長くて
つまらなくて
イライラしてただろう。



けど、いつからだ?



嫌いじゃなくなった。
こんな時間が。

胸の中が
ジンワリ
あったかくなってくる
そんな時間。



なんでだろうな?



目を閉じれば
瞼の裏にうつるのは
明るい色ばかり。

若葉色
空色
蜜柑色
蒲公英色
桜色

それが
どんなに
寒い
冬の時期でも
明るい光が差し込んでるみたいだ。

その光。

それが
オレの凍ってた部分を
溶かしてくれたって
気付いたときから
こんな
あったかい
フワフワしたもんが
胸の中に生まれたんだ。



今日はどんな顔を見せてくれるだろう?
今日はどんな声を聞かせてくれるだろう?
……オレと一緒で楽しんでくれるだろうか?



緊張を落ち着かせるために
深呼吸を一つ。



アイツを待つ
この
幸せで
春のような
心地いい時間。

そんな時間が
好きだ。







(あとがき)
ほっこり月間ラスト(って1月過ぎてますが……)は志波でした。
あ!
「これ、志波くんって言わないと志波くんだって分からない」
ってクレームありましたらドシドシどうぞ……。

志波には
あえて
デイジー無しで
ほっこりしてもらいました。

(2009.2.1)





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Photo : おしゃれ探偵