二人で並んで歩く帰り道。



十五夜



うさぎ
うさぎ
なに見てはねる
十五夜おつきさん
見てはねる



「きれいなお月様だねー」
「だな………」

「ねえねえ、子供の頃、月の中にウサギがいるって信じてた?」
「どうだったかな?覚えてねぇ」
「私は信じてたなあ」
「へぇ………」

「………でも、まあ、いるとしたらおまえに似てるかもな」
「そうかな?」
「ああ………ニコニコしながら餅ついて、
 団子が出来たら嬉しそうに周りをピョンピョン飛び跳ねてる、
 だろ?」
「えー!そんなに食い意地はってないもん!」
「ククッ………」
「ちょっと!自分で言っといてウケ過ぎ!」
「悪ぃ………クッ」
「笑い過ぎだってば!」
「ははっ………」

「そんなら、志波は食い意地のはった狼だからね!」
「狼?」
「そ!しかも抜けてんの!」
「抜けてる………?」
「満月を団子と間違えて、
 食べたいぞーウォーンって一晩中吠えてるの!」
「なるほどな………」

「反論しないの?」
「まあ、半分は当ってるからな」
「半分?」
「ああ………オレがその狼だったら
 別のもの見て食いたいって吠えてるはずだ」
「へぇ………なに食べたいの?」
「月の中のウサギ………」
「ふーん。あ、そっか。狼は肉食だもんね」

「ハァ………鈍感」
「なにが?」
「別に………」
「なにが?ねぇ、なにが?」



うさぎさん
うさぎさん
狡賢い狼さんに
気をつけてね









(あとがき)
なんとなく満月を見たときに
思いついたものを書いてみました。
(2008.09.26拍手掲載)



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