「いくわよ!みゆき!よろしくって?!」 「はい!お願いします!お蝶婦人!」 おい、エースを○らえ!はバドミントンじゃねぇだろ……… 普通 「はるひちゃんもみゆきちゃんもがんばれー!」 「あのさ、たかがバドミントンに何熱くなってるんだ?」 「瑛くん、たかが、じゃないよ。勝った方には賞品があるもん」 「賞品?なんだよ?」 「瑛くんお手製クッキー」 「ああ、俺のお手製クッキーね………って誰がそんなの作るか!」 「いたっ……!チョップ強すぎ………」 「あかりが勝手なこと言うからだ」 「だって栄えある勝者への最高の贈り物にするんだよ? 瑛くんのお手製なら相応しいじゃない、ね?」 「ん?あ、ああ………」 「瑛くんのクッキーが一番最高でしょ、ね?」 「あ、当たり前だ。よし。特別にスコーンもつけてやらないこともない」 「わあ、きっと喜ぶよ」 佐伯と海野は相変わらずバカップルだ。 どちらかと言えば佐伯が海野にうまくあしらわれてるようだが どっちにしてもオレ達には関係ない。 「おーい、西本!負けたらクビだかんな!」 「ハリー、任せとき!バドのお蝶婦人、はるひ様に!」 「だあーっから、そりゃ、テニスだろうが!」 「ええやん〜、せっかく盛り上がってるんやから〜」 「ばっ!そ、そういうカワイイ声出すんじゃねぇよ………」 「か、か、かわいい、って………ハリーってば、やだ………」 「照れんなよ………こっちが恥ずかしいだろ………」 「ハリーこそ………うちだって恥ずかしい!」 針谷と西本、アイツらも最近じゃ立派なバカップルだな。 針谷がからかい甲斐のあるヤツだというのは知っていたが 西本が案外女子っぽい反応をするというのは知らなかった。 まあ、それもオレ達には関係のないことだ。 「はるひ!いつまでもイチャイチャしてないでよ!やるよ!」 「あ………ああ、いいで!さあ来い!」 「とりゃ!」 「てやっ!」 オレのみゆきは負けず嫌い。 昼休みの遊びでも本気で勝ちに行こうとする。 真剣な目、 それでいて楽しげな口元、 シャトルを追いかけてめいっぱい伸ばす腕、 どれも、いい。 「おい、志波ぁ、オマエ顔がにやけてるぞ」 「は?」 「みゆき見てる時は、ホントメロリンくんだよなぁ、オマエ」 「針谷の言う通りだ。メロリンだ」 「どこがだ?」 「「どこがって、全部だろ!」」 「バカップルのおまえらに言われたくねぇ………」 「だ、誰がバカップルだっつーの!」 「そうだ!志波に言われたくないぞ!」 「志波とみゆきが一番バカップルじゃねぇか!」 「針谷の言う通りだぞ、志波!」 「オレたちがバカップル………?」 「自覚してねぇのかよっ!」 オレたちが………? そうか? 別に普通だろ? 佐伯も針谷も図星だからって逆ギレするなんてお子様だな。 「痛っ!」 「あ!ごめん!みゆき!大丈夫!?」 目を離した隙に何があった?! みゆきが指を押さえてつらそうな顔をしている。 オレは慌てて駆け寄った。 「どうした?」 「あ………シャトルで切っちゃったみたい」 「見せてみろ」 みゆきが差し出した手をそっと握る。 その手の人差し指から血がジワッとにじみ出す。 「痛むか?」 「ん、ちょっと」 痛さで顔をしかめてる。 かわいそうに………。 少しでも痛みが和らぐように そしてその真っ赤な血が早く止まるように……… パクッ 「ちょっ、恥ずかしいよ?」 「…」 「ねえってば!」 「…」 指をくわえたまま傷口を舐める。 鉄の味。 「くすぐったいよ………」 「…」 「ね、もう大丈夫だから」 「………そうか?」 口を離して傷口を見てみれば 一応血は止まったようだった。 よし。 「保健室行って消毒するぞ」 「これ位大丈夫だよ」 「ダメだ!………バイキンが入ったら大変だ」 「ええ?!大げさだなぁ、もう………」 みゆきの手をひいて保健室に向かう。 「手はつながなくても大丈夫だと思うけど?」 「けが人はおとなしくしてろ」 「ええ?!でも、手つなぐような怪我じゃないんだけど………」 「おい、オマエら、午後の授業遅れるって先生に言っといてくれ」 「遅れるほどの手当てなんてしないと思うんだけど………」 「バカップル………いや、ただのバカだ」 「うん、そうだね」 「やっぱりアイツラが一番バカじゃねぇか!」 「ほんまやねぇ………」 取り残された4人がポカンと見ていたが、 何をそんなに驚く必要がある。 こんなの普通、だろ? (あとがき) バカップルを書こうとしたら ただのバカな志波になってしまいました。 スミマセン、本当に、スミマセン。 (2008.10.26拍手掲載) 目次へ戻る |