もとはるとかつみとボール
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オレ、まさきもとはる、6さい。 きょうは、かつみといっしょに、しんりんこうえんであそんでるんだ。 オレのおかあさんとかつみのおかあさんはあっちのほうでおしゃべりしてる。 かつみは3さい。 かつみはボールがすきだから、さっきからずーっとボールであそんでるんだ。 「よーし!かつみ、もっとつよくなげてみろー!」 「んっ………」 「おお!とおくまでとんだ。すごいぞ!」 ボールはオレのうしろにとんでっちゃった。 おいかけてったら、そのボールをひろってくれたおんなのこがいたんだ。 「ありがとう!」 「………」 「あのさ、そのボール、オレたちのなんだけど?」 「………みーたんも」 「え?」 「………みーたんもボール」 「あー、ボールであそびたいの?」 こっくり。 「そっか。じゃ、むこういくぞ」 てをつないであげたんだ。 ちいさいこには、やさしくしないといけないんだ。 おかあさんがいってた。 「ほら、あそこのおとこのこになげるんだよ。かつみってゆーんだ。」 「かちゅ………」 「うん。ほら、こうやって、えいってやるんだよ」 「えいっ!」 いっしょうけんめいなげたんだけど かつみのところにはとどかなくて コロコロころがったんだ。 おんなのこにはむずかしいのかな? 「おーい、かつみ!このこになげろー!」 「んっ………」 かつみがなげたボールは ちゃんとこっちまでとんできて だけど、みーたんはとれなくて あたまにポカッってぶつかっちゃった。 「あ!だいじょうぶかあ?」 「う………ふぇーーーん!」 「あああ、なくな、いたくないいたくない」 やわらかいボールだからいたくないはずなのに。 なきむしなヤツだなぁ。 でも、おんなのこにはやさしくしないといけないんだ。 おかあさんがいってた。 「おーい、かつみ!おまえもこい!」 「うん………」 「いいか、かつみ、おんなのこがないちゃったら、いいこいいこするんだぞ?」 「いいこ?」 「ほら、こうやって、あたまをいいこいいこするんだ」 ないちゃったみーたんのあたまを かつみとオレはいっしょにいいこいいこした。 いっぱいいっぱいした。 おかあさんがおしえてくれたんだ。 いっぱい、いいこいいこしたら みーたんはなきやんで にっこりわらってくれた。 ちいさいおんなのこはかわいいな。 「みーちゃーん」 「あ、ママ………」 「ここにいたの、みーちゃん。おにいちゃんたちにあそんでもらってたの?」 「うん」 「そう、よかったね。ありがとね、おにいちゃんたち」 みーたんのおかあさんが にっこりしてくれたから オレはうれしくなった。 「さ、みーちゃん、おにいちゃんたちにバイバイして?」 「ばいばい」 バイバイってしようとおもって あ、そうだ!っておもって さっきころがっちゃったボールをひろってきて みーたんにわたしたんだ。 「これ、あげる」 「………おにいたん、ありがと」 「またあそぼうな?」 「うん、おにいたん、かちゅ、ばいばい」 「「ばいばい」」 かわいかったなぁ。 いもおと、っていうのがいたら あーゆーふーにかわいいのかなぁ? 「おい、かつみ、おかあさんのところにかえろ?」 「?」 「それでな、いもおとがほしい、っていうんだぞ?」 「いもーと?」 「そうだ、かつみだってみーたんみたいな『いもおと』ほしいだろ?」 「うん」 「よし、いくぞ!」 「結局、本物の妹はもらえなかったけどなぁ」 「………覚えてねぇ」 「あのこ、元気かなぁ?あのボールまだ持ってたりしてな」 水色のカラーボール。 古くて、もう空気も抜けてるんだけど、 なんか捨てられないんだよねぇ。 全然覚えてないけどお父さんに買ってもらったのかな? うーん、でも、違うような気がする。 このボールを見ると すごく心があったかくなる。 誰かに頭をなでられてるような……… 「やっぱり捨てられない」 宝物箱に戻して蓋を閉じた。 (あとがき) つまりは、真咲先輩は年下が好きってことです。 そんで女の子には優しくしなきゃいけないって教育されてて、 二人とも頭なでなでが自然に出来ちゃう人たちってことです。 (2008.9.13拍手掲載) 目次へ戻る |