コナン:平次×和葉
Butterfly Cafe 5周年フリーで頂いてきました。
自分で書く事はないコナンものですが、このお話は可愛くて大好きなのでもらってきました
昔から、アタシが熱で伏せるとニセモノ君がくる。 平次そっくりの、平次のニセモノ。
まやかしの君。
一番最初に来たんは、確か小学校あがる前。 熱を出したアタシにりんごを持ってきた。 「だいじょうぶか」とか「はよ、なおせ」とか。 いつもと違う優しい言葉と態度。 いっつもアタシをいじめるくせに、変なの。 そう思ったから聞いてみた。 「アンタ、へーじのニセモノなん?」って。 そしたら「うん」ってニセモノは答えた。
ひんやりと。 頬に冷たいものが当たる。 ぼんやりと目をあけると、冷たいものは褐色の手。
「・・起こしたか?」
優しげな顔で見つめてくるから。 アタシは「うううん」と素直に答える。
「熱、まだあんな」 「・・・そう?」 「アイス、買ってきたで。お前が好きなチョコチップ」 「ホームランバー?」 「アホやなぁ、高級なハーゲンや」 「優しいなぁ・・さすがニセモノ君」
アタシが笑うと。 ニセモノ君は同じように笑った。
久しぶりに会う、ニセモノ君。 本物そっくりなニセモノ君。
「汗、掻いてるな」 ニセモノ君は、アタシのおでこを触って。 置いてあったタオルで、首筋辺りを拭いてくれる。 アタシはなんやこそばーて。 クスクスと笑う。
「・・・ちょっと・・・変な気分になんな」 「そう?」 「お前、熱あると素直やから」 「そうかなぁ・・」
ふにゃ。としたまんまでアタシが答えると。 ニセモノ君はアタシの顔を覗き込む。
「なに・・・?」 「ええやろ?」 「なに・・が?」 「キス」
短く答えて覆いかぶさってくる身体を。 アタシはやんわり止める。
ニセモノ君は優しくて。 本物より、ちょっとアタシが好きみたい。 けど・・
「アカンよ」
アタシは押し止めて、笑う。 ニセモノ君は近くで、アタシをマジマジと覗き込む。
「なんで?」 「うつるから・・」 「ええやん」 「アカンの」 「ええやん・・」 「それに・・・」 「ん?」
「それに・・・キスは本物としたいん」
アタシが言うと。 ニセモノ君は「ほうか」と答えて、さっと立ち上がる。 そして、部屋を出て行った。
えらいアッサリしてんなぁと。 思わず笑うと、すぐにドアが開く音。 あ。 とか思う間もなく、素早く抱き寄せられて。 重なる唇。
「本物やったらええんやろ?謝らんぞ」
柔らかな感触が離れた途端、それ? アタシは思わず噴出す。 噴出すアタシを、「アホ」と本物は抱きしめてくる。
「なぁ」 「なんや」 「時々はニセモノ君になって?」 「なんでやねん」 「ニセモノ君・・・優しいから」 「・・・アホ」
「お前なんか、オレで十分や」
本物はそう言うと。 今度は噛み付くようなキスをした。
END
|