02.入学式の朝 |
あの後の私ときたら 落ち込んで 泣いて … … … なーんて事は性分に合わないので 泣くのは心の中だけにしておいて 表には絶対出さないようにしていた。 でも、 ポッカリ空いてしまった春休みを どうすれば良いのやら… って悩んで…。 ま、結局のところ、 「筋肉で出来ている」って親にも言われた脳みそで考えられる事といえば、 身体を動かす事だけで。 スポーツジムに通い詰めて 何も考えなくて良いぐらい ただ滅茶苦茶に身体を疲れさせたんだ。 全日本中学校陸上競技選手権大会の100mで3位入賞。 それが私の肩書き。 進学先の高校、はね学もスポーツ推薦で合格。 だから陸上部に入らなければならないんだけど…。 今は全然やる気が無くて…。 「はあ…」 ま、良いや。 学校が始まったら考えれば良いや。 足りない脳みそでいくら考えてもどうしようも無い事は考えない! そうこうしているうちに 今日は入学式。 学校がある間は早朝ランニングすることにした。 放課後は陸上部の活動も始まることになるから 自分のペースでトレーニング出来るのは朝しかないからね。 家から10分位走った所にある森林公園。 う〜〜〜ん、早朝の公園は、気持ち良い!! 新緑の木々がきれい。 新しい葉っぱの匂いがする。 地面から立ち上ってくる土の匂いも 鳥たちのさえずりも 春風が葉っぱを掠めてたてる音も なんて清々しいんだろう。 リラックス効果抜群! 「ふわ〜っ」とか 「はう〜っ」とか 「ん〜〜〜〜っ」とか 気持ち良さについつい出てしまう 訳の分からない声を出しながら 気持ち良いスピードで走っていたら… タッタッタッタッタッタッ 後ろからドンドン近づいてくる足音。 そして あっという間に抜き去られた! むかっ。 気持ち良いスピードって言っても 私のスピードは全中レベルだよ。 相手が男だからって、こうも簡単に抜かされるとは・・・。 むかーーーーーっ。 私の負けず嫌いのスイッチは あっという間にON! ぐんっとスピードアップする。 一旦は離された距離をぐいっと縮める。 でも…追いつけない? ??? いやいやいや。 そうだ、朝で本気で走っていないからだよ! もう一回、ぐんっとスピードアップ。 とりあえずつかず離れずの距離を保って走れるスピードになったけど……。 ??? いやいや、 うん、 ま、 追い抜くのも、ね。 いかにも、って感じだから。 今日のところは後ろからプレッシャーを与えるだけにしておいてやろう。 それで許してやる。 なんと心の広いわ・た・し。 …決して追い抜けなかったわけじゃない。絶対。 公園の入口まで追跡して、 そのまま公園を出て帰宅した。 それにしても、あのでかい男。 後姿しか確認できなかったけど 高3ぐらいか? 今度会ったら抜かせない。 絶対。 「はあっはあっはあっ」 朝から息があがりすぎた…。 トレーニング、これからは真剣に計画立ててやらなきゃ。 なんだか変なきっかけだけど 私の「やる気」度はかなーりアップした。 Next→ ←Prev 目次へ戻る |