27.始業式(2年目)

始業式最大の盛り上がり、それってクラス替えだよねー。
次が担任。
はっきり言って校長先生の挨拶や、時間割や、新しい教科書なんてオマケ。



掲示板を横に移動しながら自分の名前を探す。
友達も確認しながら。
そして一番気になる人の名前を心の中で唱えながら。

それにしても、男女ごちゃまぜで並んでいる名簿。
あいうえお順じゃないから本当に分かりづらい。
男と女を分けるのが時代にそぐわないのは分かるけど
あいうえおで先頭とドンケツを決めるのも差別になるの?
教育ってホント変なところに気を使うよなあ…。

A組は佐伯と藤堂か。

B組は………
よしっ。
心の中でガッツポーズ!
自分の名前のすぐ下に探していた名前があった。

神様ありがとー!!!

女子は、あかりと結花が一緒だ。
生徒会の小野田千代美って子も。
男子は、津田とクリスなんとかって人がいる。

針谷とはるひは揃ってE組。
うふふ〜良かったね。



ちゃん!おはよう!」

「あかり、おはよ!一緒だね、一年間よろしく!」

「うん、よろしくね。教室行こう?」

「うん、いこいこ!」





もう一つ嬉しかったのは席順。
出席番号順だったから隣になれたのだ!!!

神様愛してるー!!!

うふふー。

「なにニヤニヤ笑ってるんだ?」

「え?そんな事ない、よ?
 あ、一年間よろしく」

「ああ」

ぶーぶーぶーぶー、
素っ気無い!
私だけか、ウキウキなのは。



「おはよう、、志波君」

「あ、結花、おはよう!一年間よろしく〜!」

「こちらこそよろしくね!
 志波君もよろしくね」

「ああ、よろしく」

むむーっ、なんか愛想いいじゃん、私より。
ブツブツ…

「ニヤニヤの次はブツブツか?忙しいヤツだな」

「誰のせいだと…」

「まあ見てて飽きないな。当分楽しめそうだ」

うーん、バカにされてるのか?
それとも楽しいから良かったってことなのか?
なんかスッキリしないー!



ちゃん、おはようさん。
 志波クンもおはようさん」

「え?えーっと、クリス…?」

「クリストファー・ウェザーフィールド、クリスでええよ。よろしゅーな」

「こちらこそよろしく…っていうか
 なんで私の名前知ってるの?」

ちゃん、去年の体育祭大活躍だったやんか〜。
 ボク、カワイイ女の子の名前はみーんな知ってるんよ」

「カワイイ…って私がー?
 もうクリスったらうまいんだから〜!」

「本当やで?ちゃんはカワイイよ。
 走ってる姿はアテネの女神さんみたいやった」

「えーそうかな、えへへへ、照れちゃうよ」

「志波クンもそう思うやろ?」

「…」

あきれてるのか
クリスの言葉にひいてるのか
むすーっとして反応しないよ、この人。

クリスの表現はとってもストレートで
こっちが赤面しちゃう。
たとえそれがお世辞だとしても
外国人だからというか
クリスのホニャホニャした雰囲気だからか
許せちゃうんだけどね〜。

「今度モデルになってくれへん?」

「じっとしてるのは無理なんだけど」

「ほんなら、走ってる姿描いてもいい?」

「それならいいよ。出来たら見せてね?」

「ええよ。描いたら真っ先に見せるからな。
 あ、志波クンにも見してあげるから
 そんなにミカンに皺よせたらあかんで?」

「ミカン?」

「眉間、だろ。クリス」

「あーそれそれ。やーっと口きいてくれたー、な、志波クン?」

「…」

「あかんー、また、貝さんになってもうたー」



クリスと志波って仲良い…?
どういう繋がりがあったんだろ?
不思議な組み合わせだ〜。





「みなさん、おはようございます。
 このクラスを受け持つことになった若王子です」

「えー、また若王子先生ー?」

さん、先生のこと嫌いなんですか?」

「嫌いじゃないけどさ、部活でも一緒だし、
 ずーっと若王子先生の顔見てたら飽きるじゃん」

「グサーッときました。先生、もうダメです…」

「先生、それより、そのドアの外にいる人だあれ?」

「そうです、そうです。
 えー、みなさんに嬉しいお知らせがあります!
 今年は副担任の先生が入る事になりました。
 どうぞ、時任先生!」

「はい、みなさんおはようございます。
 時任遙といいます。
 えっと、字はこんな風に書きます。
 …
 担当教科は古文です。
 今年大学を卒業して教師になったばかりで
 頼りないかもしれないけれど
 みんなの高校生活の大切な1年間が
 楽しいものになるように
 お手伝いできたらと思います。
 よろしくお願いします」

オー!!!

男子の喜びの声が沸き起こる。
きれいなお姉さんは好きですか系の美人だもんね。
特別色っぽいというわけではないけど
それでいて同級生とはやっぱり違う年上の雰囲気。
でも大学出たばかりという初々しい感じもあるし。

「若ちゃんより挨拶しっかりしてるから大丈夫だぞ!!」

「津田君、ひどいです…」

「『先生』が二人だと紛らわしいから
 時ちゃんって呼んで良いか〜?」

「いいですよ、あだ名大歓迎です」

「あ、それなら先生も!あだ名大歓迎でーす」

「若ちゃんは若ちゃんってあだ名があるだろー!」

「あ、そうでした。それでは、みなさん、時任先生に質問はありますか?」

「はいはーい!時ちゃ〜ん、彼氏はいるんですかー?」

「いませんよー」

オオー!!!!

「じゃー好きなタイプは?」

「うーん、優しい人、かな」

ウォーーーー!!!

「年下はどう?いける?」

「あまり年齢は気にしないですよ」

ドワーーー!!!

「じゃオレ立候補!」
「オレもオレも!」
「オレは優しいぜ〜!」

「うふふふ、みんな素敵だよ?」

グワーー!!!



男子の盛り上がりがすごい!
男子は大体がお姉さん系に憧れるもんなのかなぁ?
と思いながら志波をチラ見…

「うわっ、なんでこっち見てるの?」

「別に…」

「あ、志波赤い!
 志波も時ちゃんみたいなお姉さんが好みなんだ?」

「は?違う」

「男子、すごく盛り上がってるじゃん。
 志波もでしょ?」

「違うって言ってる」

「じゃ、なんで?」

「なにが」

「赤いじゃん?」

「別に、なんでも…」

「えー教えてよー、なんか怪しい」

「怪しくない………呼ばれてるぞ」

「へ?」

さん、楽しそうなところ、
 お邪魔してすみません。
 でも、今、時任先生が出席とっているので
 協力してくださいね?」

「わー、ごめんなさいっ!時ちゃん!」

「…時任先生だけですか?」

「え?あー、若王子先生もごめんなさーい」

「…なんだか付け足された感じがするのは気のせいでしょうか?」

「うん、気のせいだよ」

「…そうでしょうか?」

「あのー、若王子先生?続きいっても良いでしょうか?」

「時ちゃーん!若ちゃんほっといて、次いっちゃえ!」
「そうそう、どんどんいこう!」
「若ちゃんはいつもそんなんだから!」

「え?あ、じゃあ、次いきますね?
 志波勝己君」

「はい」

「みんなも時任先生もひどいです…」



どっちが副担任だか分からないよ。
若王子先生のボケっぷりって天然なのかなぁ?
お子ちゃまっていうか…。

志波との話が途中になっちゃったけど
聞きなおすのも面倒だったので
そのままスルー。

こんな感じで2年生がスタートした。
時ちゃんが言ってたように
楽しい1年間になると良いなぁ!






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