50.ガールズトーク第一夜
|
「ごちそうさまでした!ふー!食べた食べた!満足〜!」 「いっぱい食べられてよかったね、ちゃん」 「うん!!ちゃんと食べられるって幸せ〜!」 奈良から京都の宿に戻るバスの中は お菓子でなんとかしのいだけれど やっぱり白いご飯じゃないと! 「つーかまーえた!」 「わ、はるひ!なに?」 「ちょっと来てや〜」 はるひに引っ張られて来たのはロビーの隅っこ。 なにをそんなにコソコソするのかと思ったら コソコソしなきゃならない話題だった。 「、自由行動、ちゃんと誘ったん?」 「あー!えへへ、まだ………デス」 「なんや……自由行動、あさってやで?」 「ん、分かってるよぉ。明日、ちゃんと、誘う ………んじゃないかな?」 「がんばりいや。 志波やんひそかに人気上昇中なんやから」 「う……がんばる………」 そうだよね。うん。なんとなく感じてた。 新幹線の中でも他のクラスの子が 通り過ぎるフリをしながら志波を見てた。 鹿に囲まれてる志波を見てたら 「志波くんカワイイ」なんて キャーキャー言ってる子もいた。 志波が一番カワイイのは 観覧車で震えてる時だもん!とか 心の中で叫んだけど、なんかむなしかった。 はぁ。 がんばらねば。 消灯時間ピッタリ、 千代美が電気を消して寝る態勢に入った。 偉いなあと思いつつ、 夜はこれから!寝てなんかいられない!って 布団の中で気合入れてた。 やらなきゃいけないこともあるし。 自由行動で志波を誘う前に。 京都に来るずっと前から、 結花とちゃんと話したいって考えてた。 この前の遊園地みたいに 「私も志波と乗りたい」って言えなくて アウアウするのはもうヤだし、 もしも結花も志波を好きなら 「私もだよ」って言っておいて お互いフェアにいきたいし。 だから今日は話をするまで絶対寝れないの! 「結花、もう寝ちゃった?」 「ううん、寝てないよ」 「話したいことがあるんだけど、いいかな?」 言いながらズリズリと枕と共に結花に近寄る。 この位小さな声なら千代美が寝てても大丈夫だよね? 「ふふ、なんか真剣な話?」 「うん、えーっと……結花、前に好きな人いるって言ってたよね?」 「ボーリングの時だっけ?もいるんだよね?」 「うん。それでね、教えてほしいなって思って」 「私の好きな人のこと?」 「うん。あ、もちろん私も言うから。だめ?」 「ふふ、いいよ。どっちから言おうか?」 「せーので一緒に言うってのは?」 「じゃあそれで」 はぁ、ドキドキする。 私が志波って言ったらビックリするだろうなぁ。 でも、でも、ちゃんと聞きたい。 「よーし、じゃ、せーの!」 「志波!」「真咲先輩!」 「「えええ?!」」 ビックリして大声出しちゃった。 結花もかなりビックリしてる。 うーんと千代美が寝返りをうって焦った。 お互い顔を見合わせてシーッと人差し指を立てた。 「結花、真咲先輩が好きだったの?いつから?」 「いつだろ?あ、皆でスケートに行った頃はもう意識してたかも」 「そうだったのかぁ………ははは、なんか力抜けた」 「は?本当に志波くんなの?」 「うん。私が自覚したのはボーリング行った時かなぁ。えへへ」 「私………」 「どうしたの?結花?」 「ずっと勘違いしてた、ごめんなさい」 「え?なにが?」 「と真咲先輩が付き合ってるんだって思ってた」 「ええっ?!無い!有り得ない!」 「しーっ!ってば、そんなに力説しなくても……… 遊園地、志波くんと乗ったりしてごめんね」 「いいよ〜、もう。 あー話してよかった〜。 あれ?そういえばさ、観覧車なんで泣いてたの? 真咲先輩と乗っていい感じにならなかったの?」 「あの時はね、先輩とが付き合ってるって思ってたでしょ? それなのに真咲先輩に 『二人で来たかったぁ』とか 『今度は二人でどこか行こう』とか言われて そんなのに対してひどいって思って。 先輩が何考えてるのか分からないから、泣いちゃったの」 「ああ……結花、ごめんね。もっと早く言えばよかった」 「のせいじゃないよ、私が勝手に勘違いしたんだから。 あ、そういえば、泣いちゃったら 『今の話なし。忘れろ。泣かしたいんじゃない』って言われてね。 もう無効かな、あのお誘いは………」 「ちゃんと話せば大丈夫だと思う」 ちゃんと話したら先輩喜んで倒れるかもしれない。 後はお互いに気持ちを伝えるだけじゃん。 いいな、いいなー! 「さん!」 「結花ちゃん!」 「千代美?!」 「あかりちゃん?!」 「寝てたんじゃなかったの?」 「全部聞かせていただきました」 「「ええっ?!」」 「結花ちゃんの好きな人って年上なんだ〜!なんか似合いそう!」 「二人とも盗み聞き〜?いい度胸じゃん」 「もう!じゃあ、二人の話も聞かせてもらわないとね。ねー、?」 「そうだそうだ!」 「えー!もっとちゃんと結花ちゃんの話が聞きたい〜!」 「同感です。 こういうお話は友情をググッと深めるために必要です。 さあ、さんどうぞ?」 「そういう千代美の話からどーぞ?」 「わ、私は後でいいんです!さんは、もう告白なさったんですか?」 「あ、それ私も聞きたい」 「ちょっと結花!あっちに味方するのー?」 「だって聞きたいんだもん」 もう!なーんて文句を言いながらも キャイキャイと楽しいお喋りで夜は更けていったのでした。 話してホントにホントにホッとした。 ずーっとなんとなく引っかかってたことだったから。 結花なんてもっとモヤモヤしてたんだろうな。 私と先輩が付き合ってるなんで どこからそんな発想が出て来るのやら。 よーし、自由行動、志波を誘うぞー。ガンバル!! Next→ Prev← 目次へ戻る |